さまざまな間取りの事例を見て、なぜ、玄関とホールはやたらと広いのだろうかと、ずっと疑問に思っていました。
そこで建築系サイトでの間取り解説、さらには書籍も読み漁りながら無料の間取り作成ツールを使って約2週間、トータルで20回以上の試行錯誤の末、やっと最適な玄関とホールを導き出せました。
おかげで納得の空間になったので、私なりの考え方や過程を備忘録として書いておこうと思います。
なお、用語については以下の意味で書いてますが混在してます。ご了承ください。
- 玄関:たたき(靴を脱ぎ履きするスペース)
- ホール:玄関のたたきから室内に上がるスペース(玄関ホール)や居室同士を繋ぐ通路
玄関とホールへの考え方
私たちのコンセプトは「2人の秘密基地」で来客も想定していないので、玄関やホールに広さ・豪華さ・解放感などは求めていません。
大多数の方とは真逆な考え方でしょうね。
玄関で長居はしない
私らの日常生活では、1日に玄関を使う時間はせいぜい1~2分。
ある朝、奥さんに許可を取って計測したら32秒で、帰宅時も同じ程度なんです。
雨天時だと傘の取り出しなどがありますが、それでも5分はかかりません。
宅配の対面受け取りも秒単位で終了。
暮らしの実態から玄関やホールにコストをかける必要性はないと結論付けました。
こだわり優先順位は高くない
コストアップを避ける目的で建物の床面積を絞っていたので、玄関とホールの占める割合が高いと収納や他の居室にしわ寄せが来るのですよ。
そもそも玄関やホールに大したこだわりもないですし、今の住まいも狭い玄関ですが違和感なく過ごしてきたわけですから同等レベルでもよいぐらい。
並んで靴を履くことはない
夫婦が並んで玄関に立つ、靴を履くなんて、ほとんどないんですよ。
出かけるにしても一方が先に靴を履いて外で待つか時間差で玄関に来るかのどちらか。
1人で無難に靴が履けるスペースであればOK。
来客のために作るのではない
来客を意識なんてしません。
極論、通り過ぎるだけの空間と認識してますので。
特別な造作もせず小さな箱型玄関収納だけにして掃除の手間も少なくします。
求める機能はたった3つ
- 靴を脱ぐ・履くの動作ができる
- 傘を仕舞える
- 宅配の対面対応ができる
メインはこの3つです。
アウター・アウトドア用品・買い物の荷物が置けるスペースが欲しい方もいらっしゃるようですが、私らは早くリビングに行きたい派ですから玄関で靴を履いたままウロウロ、ゴソゴソしたくないんですよ。
老後を見据えて
たとえば車いすでの生活を余儀なくされたとしましょう。
ポーチから玄関を通って玄関ホール、そしてリビングに入るまで、できるだけ距離は短いほうが望ましいと考えました。
リフォーム工事の費用や工期も抑えられますから合理的だと思いますし、設計士さんも共感してくれましたから方向性としては間違ってはいないはずなんです。
車いすを想定しなくてもユニバーサルデザインの観点から段差をなくす、あるいは小さくする、手すりや腰掛けを後から追加しやすくしておく設計が、将来に向けて有効なんじゃないかなと思いました。
2週間の試行錯誤で導き出した間取り
具体的には以下のようになりました。
- 玄関(たたき):1帖≒1.6平米・幅1820mm×奥行910mm
- 玄関ホール:1.5帖≒2.5平米・幅1820mm×奥行1365mm
- 通路:2.5帖≒4.1平米(L字形)・幅910mm
※幅と奥行きは壁芯でのサイズ
※壁の構造は3.5寸の柱に12.5mmの耐熱ボードと仮定
もう少し削りたかったのですけど限界でした・・・。

※部屋を繋ぐ通路は掲載していません。
玄関幅は狭い部分で1200mmぐらい
壁の厚みを考えると内寸は1670mm前後。
奥行き400mmの箱型玄関収納が入りますから、実質の幅は1200mmぐらいかと。
一応、巻き尺で1200mmを体感してみましたけど、今の住まいの玄関よりは確実に広いのでOKです。
奥行きはホール込みで圧迫感を低減
奥行きに関しては、たたきと玄関ホールの段差も極力小さくしますし、圧迫感はないレベルになると思います。
壁には手すりか腰掛けを付けられるよう、下地の位置は今後の課題になります。
玄関収納もコスト優先
玄関収納は幅900mmのカウンタータイプと吊り棚、それに幅300mmのトールタイプを組み合わせる、いわゆるコの字スタイルを想定しています。
トールタイプに鏡をつけるかどうかは迷い中。
夫婦ともに靴には全く興味がなくて手持ちもめっちゃ少ないから、もっと小さくてもよさそうなんですけどね。
靴を履いて出し入れせずに済むよう、たたきと玄関ホールをまたぐ位置に置きます。
また少しでも圧迫感を緩和するため床置きではなく、少し浮かす可能性もありますが価格で決めます。
とにかく玄関とホールは余計なモノは置きたくないですね。
通路の必要寸法
図としては出してませんが各部屋へつながる通路の意味でのホール(廊下)の幅については、建築基準法上の最低基準が780mm以上は確保しています。
今の住まいが860mmぐらいなので、少なくともそのレベルは確保したいですね。
面積でいえば2.5帖ですけど、動線を考えると、これ以上は削れませんでした。
当初案との比較
当初に提示されていた案と比較してみます。
ポイントは通路の分離
←これがこう→ 
当初は玄関ホールと通路が兼用になっていました。
下はリビング、上は個室なんですけど、リビングから個室に向かうときに玄関を横目に通るんですよ。
室内に上がったら玄関は見たくないですし、寒い時期だと冷えた玄関をヒートショックリスクを負って通過する意味が分からないので分離したんです。
壁一枚だけの造作、玄関正面から奥への目隠しなんですけど、これがあるから通路がグネグネして動線としてスマートではないので分離は正解でした。
コンパクトになって動線もスッキリ
実は玄関・ホール・通路の合計面積は変わっていません。
造作となる玄関クロークを無くしてコストダウンしつつ、通路の動線もジクザクからL字に単純化されたので考え抜いた甲斐はありました。
なにより移動のために玄関を横切るという秘密基地としては論外な造りを排除できたのが個人的には最大の達成感がありましたね。
たたきと玄関ホールは室内への関所と思っています。
3つのメリット
玄関・ホールを変えただけですが十分なメリットが得られました。
他の居室の収納を増やせた
直接、作用してるようには思えないかもしれませんが、今の住まいと比較しても2倍になってます。
単に玄関・ホールの考え方を他の居室に応用しただけなんです。
たとえばリビングを20帖から14帖にして、削った6帖を収納に割り振ったとか、そんな積み重ねですね。
ただし私らだから納得した方法なので、これが当てはまる人はほぼいないと思います。
玄関を通らず各部屋へ移動できる
玄関ホールを経由して各部屋に移動するのが、どうしても違和感がありました。
動線の起点は玄関ホールではなくリビングではないのかと。
家の中心ですよリビングは。
たとえば起床して個室から玄関ホールを通ってトイレへ行く、あるいは洗面所で顔を洗う、キッチンで朝食をとるという一連の行動の都度、玄関ホールを行き来するのは果たして最適なのかと。
回遊動線を望むなら玄関ホールを経由しない設計が効率的だと思います。
滞在時間に見合う仕様とコスト割り
建築費用は住宅仕様や面積に比例します。
そこに滞在時間や機能性を加味すると、どの空間にコストをかけるべきか優先順位が決めやすくなるんですよ。
滞在時間は言わずもがなですが機能性については「居心地」「快適さ」「家事労働」などをイメージするとよいかもしれません。
少なくとも私は、そう考えました。
1日のうち玄関やホール・通路を使う時間はほんの数分の一方でリビングや個室には数時間は滞在します。
にもかかわらず使用頻度が少ない場所に面積と費用を割くのは費用対効果、いわゆる投資のバランスが取れていません。
玄関は家の顔なんて誰が言ったか知りませんが、住むのは私らですから、あいまいな指標に踊らされてムダにハイスペな空間にするのはまっぴら御免です。
広い玄関とホールが向いている世帯
ここまで50代夫婦の家づくりにおける玄関とホール、通路について書きましたが、世帯構成やライフスタイルが違えば、私らとは全く違う考え方が最適だと思います。
子どもがいる世帯
子どもの人数や年齢にもよりますが、朝の玄関は忙しい場所になるでしょうね。
ご夫婦が会社員ならなおさらです。
仮にですよ、子どもさんが友達を連れてくる機会が多ければ、玄関やホールの使用頻度は格段に上がります。
となるとあらかじめ、たたきは広めに取って玄関ホールも余裕を持たせるほうが、いいかもしれませんね。
土間での保管を望む世帯
キャンプ・スポーツ用品・ベビーカー・自転車などを土間収納で保管したい場合は、玄関の広さと段差の処理は最重要課題になりますね。
ちょっとした工作なんかもと考えると、もはや玄関だけでは対応が難しく、インナーガレージのレベルで基本設計に落とし込まないといけないかも。
来客が多い・人が集まる世帯
来客が多い世帯では玄関に「もてなし」の機能や役割が欲しいところでしょう。
複数人が同時に靴を脱ぎ履きできる広さはもちろん、ちょっとした立ち話ができる、荷物を仮置きしてしばしの歓談を楽しむなんて想定もあるなら、テラスのような仕様がいいかもしれないですね。
二世帯・多人数の世帯
同居する人数が増えれば玄関を使う頻度は格段に高まります。
二世帯住宅なら玄関を共用するか別にするかは最初の課題となるでしょうし、3世代が一緒に暮らす世帯では、どの年代でも使い勝手の良い玄関を作る必要がでてきます。
さらに大人数の世帯では靴・傘・外出グッズの量もハンパないでしょうから、収納量を確保するには面積もそれなりに必要ですよね。
まとめ
家づくりを終えて振り返ると、玄関・ホールの見直しは「面積を削る作業」ではありませんでした。自分たちの暮らし方を言語化する作業だったと思っています。
注文住宅の醍醐味は自由設計ですが、逆に自由設計だからこそオーバースペックに気づきにくい面があります。
しかも玄関やホール、通路はあまり考えずに設計を進めてしまった世帯は少なくないようです。
その理由は明確な設計基準がないからだと思います。
ハウスメーカーや工務店には自社での基準はあるでしょうけど、その基準が自分らにあっているとは限りません。
今回の探求で、それが本当によくわかりました。
たかが玄関、たかがホール。
どうか流されずに納得できる仕様にしてくださいね。

